番犬男子
お兄ちゃんの手が頭から離れて、視線を上げれば。
お兄ちゃんの顔つきはガラリと一変し、凛々しくもなっていた。
総長の顔だ。
「お前はどっかに隠れ……」
「嫌」
「……千果」
「嫌なの!あたしも闘う。司令等として」
ここは引けない。
あたしも一緒に闘わせて。
あたしにも、お兄ちゃんを、みんなを守る手伝いをさせて。
「あたしなら、戦況を一瞬で整理して、死角からの攻撃や敵味方の状況を教えられる。あたしは絶対に、みんなの役に立つ」
「けどな……」
「みんなの足は引っ張らない。自分の身は自分で守れる。だからお願い、お兄ちゃん……ううん、双雷7代目総長――侍」