番犬男子
遊馬に勝つ作戦でもあるの?
あたしが視力のいい眼で凝視しているとも知らずに、3人の不良のうち1人がズボンのポケットに手をつっこむ。
ポケットから取り出された物に、生唾を飲んだ。
アレで何をしようとしてるの?
……遊馬に何かしでかす前に、気づいてよかった。
あたしが、防ぐ。
すぅ、と大きく息を吸い込んだ。
「遊馬!!」
あたしの叫びに、不良3人に近寄り攻撃をしようとした遊馬が体を停止させる。
「注意して!右側にいるやつ、ライターを隠し持ってる!」
「は!?ライター!?」
ギクリ、とライターを持ってる不良が反応した。
遊馬はそれを見逃さなかった。
「へえ、ライターか。そんな物騒なもん、何に使うつもりだ?あ?」
「べ、別に……」
「別にじゃねぇよ。俺、嫌いなんだよなー、ケンカに拳以外を使うやつ」
遊馬、マジギレだ。
不良3人全員が、顔面蒼白になってる。