番犬男子




椅子が勢いよく回転する。


お兄ちゃんのほうに背中が向けられたタイミングで、雪乃の手があたしの肩に置かれた。



回転にストップがかかり、正面にはにっこりフェイスの雪乃が。



今ので確実に寿命縮んだ……。

って、それよりも。


やばい!


背中見られちゃう!



お兄ちゃんのほうに向き直そうと試みるけど、雪乃にがっちり両肩を掴まれていて、できない。


焦りが、鼓動を激しくさせる。



「……やだ」


「カーディガン取りますね」

「ああ」


「待って」



お兄ちゃんが頷いた後、あたしの止める声を差し置いて、幸汰が雪乃のカーディガンに手をかける。



やめて、お願い。


見ないで。



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