番犬男子
□ エピローグ
お兄ちゃんと和解した日の夜。
あたしとお兄ちゃんがおばあちゃんにその日あったことを話したら、涙目になって喜んでくれた。
わだかまりがなくなり、改めて“家族”の関係を築き始めたことを祝して、次の日のご飯は豪華にしよう、とおばあちゃんは張り切っていた。
アメリカにいるお父さんとお母さんにも、その日のうちに国際電話で、お兄ちゃんが記憶を戻し、仲直りできたことを伝えた。
お父さんとお母さんは安堵した様子で大泣きし、お兄ちゃんに電話越しに謝罪した。
小1時間ほど、あたしもお兄ちゃんも、お父さんもお母さんもおばあちゃんも、『ごめん』と『よかった』と涙をこぼしていた。
長かった1日が更けて、新しい日を迎える。
あたしたち家族は、まっさらなスタートラインを一歩踏み出した。
11月は風のように過ぎ去り、本格的な冬がやって来る。
日本での生活のタイムリミットが刻々と差し迫る中、12月はお兄ちゃんとめいっぱい思い出作りに励んだ。
瞬く間に2学期が終業し、白薔薇学園での留学が終わった。
多くの学生が楽しみにしていたであろう冬休みに入ってからは、さらに1日1日が短く感じた。
そして、ついに旅立ちの日が訪れた。