番犬男子




昨日『空港までバイクで送ってやる』と言われて、びっくりした。


あたしからじゃなく、お兄ちゃんから!

ここ重要!!



クリスマスは双雷のたまり場とおばあちゃんの家で、2回パーティーをしたけど、プレゼント交換はなかった。


だから、あたしにとって、日本で過ごす最後の日にお兄ちゃんのバイクに乗せてもらうことが、最高のクリスマスプレゼントのように思えた。




あたしはバイクに荷物を乗せて、お兄ちゃんからヘルメットを受け取る。


バイクにまたがり、お兄ちゃんの腰に腕を回した。



ブオオオン、とエンジン音が響いて、バイクが走り出した。




初めてお兄ちゃんのバイクに乗った日を、回想する。


あの日は、再会して初めてお兄ちゃんがあたしの名前を呼んだ、特別な日でもある。



懐かしいな。


あの日のあたしに、教えてあげたい。



今では、お兄ちゃんの情報しか保存していなかったスクラップブックに、忘れられない思い出があふれんばかりに刻まれていることを。



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