番犬男子





渋滞に巻き込まれながらも、空港に到着した。




カウンターでチェックインを済ませ、スーツケースを預けたあたしは、カウンターから少し離れたところにいるお兄ちゃんのそばに行った。


どうやらお兄ちゃんは、空港へ運転してくれただけでなく、あたしが航空機に搭乗するまで見送りもしてくれるらしい。




「お兄ちゃん」



呼びかけたのに、お兄ちゃんの視線はキョロキョロ泳いでいる。


誰か探してるの?



「お兄ちゃん!」


「……なんだ」



二度目でやっと応えてくれた。



「どうかした?」


「いや、別に」



内緒なんだ。

まあいいけど。



< 561 / 613 >

この作品をシェア

pagetop