番犬男子
渋滞に巻き込まれながらも、空港に到着した。
カウンターでチェックインを済ませ、スーツケースを預けたあたしは、カウンターから少し離れたところにいるお兄ちゃんのそばに行った。
どうやらお兄ちゃんは、空港へ運転してくれただけでなく、あたしが航空機に搭乗するまで見送りもしてくれるらしい。
「お兄ちゃん」
呼びかけたのに、お兄ちゃんの視線はキョロキョロ泳いでいる。
誰か探してるの?
「お兄ちゃん!」
「……なんだ」
二度目でやっと応えてくれた。
「どうかした?」
「いや、別に」
内緒なんだ。
まあいいけど。