番犬男子
すると、バタバタと慌ただしい足音が耳をかすめた。
お兄ちゃんは隣で、出入口である自動ドアの外を見て、こめかみを抑えている。
「あれだけ周りの客に迷惑かけず静かに来いっつったのに……」
そんなぼやきは、盛大な足音にかき消されてしまった。
足音が空港内に反響する。
あたしは足音のする方向に顔を向けて、ぎょっと目を瞠った。
な、なんで、双雷のみんながここにいるの!?
見間違い?
目をごしごしこすっても、やっぱり双雷のみんなが走っている。
どういうこと!?
昨日たまり場であたしのために送別会をしてくれたじゃん!
こちらに近づいてくる双雷のみんなから、お兄ちゃんに視線を移動させる。
説明求む!
「お前のこと、見送りたいんだとさ」
「送別会をやったのに?」
「ああ」
それくらい、別れを惜しんでくれてるんだ。