番犬男子
数秒間、幸汰はポカンとしていた。
チークを塗っていないのに、桜色に染まっているあたしの両頬を、無意識に両手で包むと。
ようやく実感したように、頼りなげに緩んだ口元から八重歯をほんの少し覗かせた。
「好き、大好き」
なっ!?
繰り返し連呼され、体温が上昇する。
「あたしも……す、好き、だってば」
「うん、僕も好き」
いや、あの。
いつまで続けるの、この告白大会。
恋愛感情の「好き」は言われ慣れてなくて、もう限界。
キャパオーバー寸前だ。
「だっ、だから!」
勢いあまって予想以上に大きくなった声に、幸汰はこてんと傾げる。
そういう仕草が可愛いとか、別に、思ってないからっ!!