番犬男子




久し振りでも、変わらない。


お兄ちゃんの匂いも、温もりも。



懐かしくて、泣いてしまいそう。



変わったところといえば、高校2年生の17歳になって、昔よりももっとかっこよくなったところかな。






感動の再会に浸っているあたしだけれど。



周り全員は何か言うこともできずに、目を丸くして驚いていた。


お兄ちゃんでさえも。



あたしはそんなこと一切気にせずに、ぎゅうっと抱きしめる力を強めたら。


驚きすぎて思考回路が停止していたお兄ちゃんが、我に返って、あたしを無理やり自分の体から引き剥がした。




「お前、誰だ……?」




お兄ちゃんは、そう本気で言っていた。


ズキン、と心臓が痛む。




「えっ!!??」


顔をしかめて冷淡に接するお兄ちゃんの対応に、驚愕の声を張り上げたのは、あたしではなく周りのほうだった。



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