番犬男子





「こいつをここに連れてきたのは誰だ」


「僕と遊馬さんです」



お兄ちゃんが、ギロリと2人を睨んだ。


お兄ちゃんのおどろおどろしい眼光に焦って、遊馬が言い訳する。



「だ、だってよ、苗字おんなじだし、嘘ついてるようには見えねぇし、本当に誠一郎の妹だと思っちまったんだよ!」




なんで、あたしが本当は嘘ついてる前提で話すの?


やめてよね。


本当に、本当に、あたしはお兄ちゃんの妹なんだ。




「お兄ちゃん、信じて!あたし、嘘なんかついてない!」




お兄ちゃんを真っ直ぐ見つめて訴え掛ける。


だけど、すぐに逸らされてしまった。



そのとき、お兄ちゃんの額に目が留まった。




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