番犬男子

□ 策士







午後2時過ぎ。




日本に到着した。


飛行機を降りて、大きめのスーツケースをひきずりながら空港内を歩いていく。




あ、そうだ。


一度立ち止まって、スマホをポケットから取り出して電話をした。




数回のコール音の後、連絡がつながる。




「あ、もしもし、お母さん?」



電話相手はお母さん。


こっちに着いたら連絡を入れるよう言われていたんだ。




『千果、日本に着いたの?』


「うん」


『おばあちゃんの家の場所はわかるわよね?』


「当たり前じゃん。あたしを誰だと思ってるの?」




そう問いかけたら、電話越しにお母さんの含み笑いが聞こえてきた。



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