番犬男子
お兄ちゃんの表情が、わずかに歪む。
そこまで嫌がらなくてもいいじゃん。
内心むくれながら、気にしていないフリをして、ニッと元気いっぱいな笑顔を向けた。
「おはよう、お兄ちゃん!」
でも、お兄ちゃんは挨拶すら返さずに、朝ご飯が用意されている居間へ歩いて行った。
お兄ちゃん、煩わしそうにしてたな。
ああやってスルーされることは、やっぱり辛い。
けどね。
懐かしくもあるんだ。
幼い頃も、よくあたしを無視していたよね。
だから、慣れてるんだ。
この程度じゃ、あたしはめげないよ。