肌
滝ひかる、２７歳。

小学２年生の頃に両親を交通事故で亡くした後は、雑貨店『ミザリー』を営んでいる母方の祖母の元に引き取られて育った。

短大卒業後は３年ほど会社勤めをしていたのだが、４年前に祖母が病気でこの世を去ったことを機に会社を退職して祖母の店で働いている。

自分が作ったオブジェを店頭に売り出しているのはもちろんのこと、ネットオークションにも出して日々の生計を稼いでいると言うところだ。

友達とはメールや電話をしているし、年に３、４回は会っているので特に寂しいと思ったことはなかった。


その日も午後６時に店を閉めると、ひかるは自宅である２階へと足を向かわせた。

１階が雑貨屋兼工房で、２階は自宅になっているのだ。

階段で２階にのぼり終えると、ひかるはうたた寝をしていた時に見た夢を思い出した。

「――豪くん、元気にしてるかな…？」

ひかるはそう呟くと、キッチンへと足を向かわせた。
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