「それで、謝りたいことと言うのは…?」

ひかるは伊崎に話を切り出した。

伊崎は気を落ち着かせるように深呼吸をすると、唇を開いた。

「――黒田豪さん、のことについてなのですが…」

伊崎は言った。

「えっ…?」

ひかるは驚いた。

(どうして、伊崎さんが豪くんのことを知っているの?)

伊崎に豪の話をしたことはあっただろうか?

記憶をたどって見るものの、心当たりは特に浮かばなかった。

「そんな顔をされても、仕方がありませんね」

そう言った伊崎に、ひかるは自分がどんな顔で彼を見つめていたのだろうと思った。

「彼のことは、ひかるさんのことを調べて行くうちに知りました。

小学生の時に仲良くしていた男の子がいて、その男の子が黒田豪さんだったと言うことです」

「…そうだったんですか」

そう説明した伊崎に、ひかるは呟くように返事をした。
< 103 / 115 >

この作品をシェア

pagetop