その日も無事に仕事が終わった。

「お疲れ様でしたー」

先輩たちにあいさつをすると、豪は職場を後にした。

夕飯を買うためにコンビニへと向かいながら考えることは、ひかるのことだ。

(ひかるちゃん、今日もご飯を作るのかな?)

今日も自分で夕飯を作って食べることだろう。

(もう1度だけでいいから、ひかるちゃんが作ったご飯で食べたい)

豪が心の中で呟いた時、
「――豪くん!」

聞き覚えのある声が自分を呼んだ。

「…えっ?」

その声は、間違いなくひかるの声だった。

(ひかるちゃんが…?

そんな、まさか…)

ひかるのことを考えるあまり、幻聴が聞こえてしまったのだろうか?

「豪くん、私だよ!」

違う、本物だ。

豪は声のした方向を振り返った。
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