(最後に、ひかるさんの役に立ててよかった)

ひかるの笑顔に、伊崎は心の底から思った。

彼女から豪のことを調べて欲しいと依頼されたのは、今から1週間前のことだった。

「豪くんを迎えに行きたいんです」

そう言ったひかるに、伊崎は意味がわからなくて首を傾げた。

「実は、小学6年生の時に彼と一緒に動物園に行く約束をしていたんです。

動物園の行き方がわからないって言う豪くんに、私が彼の家に迎えに行って、そこから動物園に行く予定だったんです」

ひかるはそこで言葉を区切ると、
「でも、約束はかなわなかったんですけどね」
と、自嘲気味に笑った。

「約束をかなえる…と言うのは少しおかしいですけど、迎えに行ってあげたいんです」

そう言ったひかるに、伊崎は彼女の依頼を引き受けたのだった。

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