ひかるは豪を家に入れると、ナポリタンを作った。

「お待たせー」

ひかるがナポリタンをテーブルのうえに置くと、
「わーっ、美味しそう!」

豪は嬉しそうに声をあげた。

「いただきまーす」

一緒に両手をあわせると、一緒に食事を始めた。

「うん、美味しい!」

美味しそうな顔でナポリタンを頬張る豪に、ひかるはあの頃に戻ったような気持ちになった。

こうして向かいあって一緒に食事をする日がくるとは思ってもみなかった。

(私、今とても幸せだ)

ひかるはそう思いながら、ナポリタンを口に入れた。

初恋の人に再会して一緒に食事ができるとは思ってもみなかった。

ふと、頭の中に伊崎が浮かんだ。

(そうだ、近いうちに伊崎さんとの交際を断らなきゃ)

ひかるはそう自分に言い聞かせた。
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