「そんな、お礼なんていいよ。

私が勝手にやっているんだし、却って悪いよ」

そう言い返したら、
「本当に少しだけでいいから。

せっかくごちそうになったのに、何もしないって言うのは何だか申し訳ないよ」

豪はさらに言い返した。

この様子だと、引かないようだ。

「わかった。

じゃあ、本当に少しだけだからね?」

あきらめたように返事をしたひかるに、
「うん、ありがとう」

豪は嬉しそうに返事をした。

ひかるが食べ終わった食器を洗って、洗い終えた食器をふきんで拭く役を豪に任せることにした。

一緒に後片づけを終えると、
「ありがとう、豪くん」

ひかるは食器棚の扉を閉めた豪に声をかけた。

「こちらこそ、ありがとう」

豪はひかるの方に顔を向けると、そう言った。
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