ふとんが敷かれた自室にいるのは、自分と豪の2人だけである。

真っ暗な部屋に差し込んでいるのは、カーテンの隙間から漏れている月明かりだけである。

「ひかるちゃん」

上半身だけ裸になった豪が名前を呼んで、また唇を重ねてきた。

自分は下半身はスキニージーンズを身につけたままだが、上半身は下着のみである。

心臓がドキドキと、早鐘を打っている。

今から、それも初めてするから、心臓が落ち着かない。

「豪くん」

唇が離れたのと同時に、ひかるは豪の名前を呼んだ。

「私、初めてなの…。

この年齢になっても、そう言うことをしたことがないの…」

呟くようにそう言ったひかるに、
「それは、俺も一緒だよ」

豪が言い返した。
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