豪は痛そうに唇をゆがめた。

「ごめんね…」

その様子にひかるは謝ると、絆創膏を貼った。

痣ができているところには湿布薬、傷には消毒を済ませて絆創膏を貼った。

冷蔵庫から保冷剤を持ってくると、ミニタオルに包んで豪に渡した。

「これで、まぶたを冷やして」

そう言ったひかるに豪は保冷剤を受け取ると、青紫色に腫れあがっているまぶたのうえに当てた。

ひかるは豪の隣に腰を下ろすと、
「一体、何があったの?」

そう言って、豪に話しかけた。

豪は答えたくないと言うように口を閉じた。

それが悲しくて、
「――私って、そんなに頼りがないかな?」

ひかるは聞いた。

「思いあがるなとか彼女ヅラするなって言うのは、わかってる。

でも…私って、そんなに頼りないかな?」

そう言ったひかるを豪は見つめた。
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