「ひかるさん」

伊崎がひかるを呼んだ。

「はい、何でしょうか?」

そう聞いたひかるに、
「――僕と結婚を前提におつきあいをしてくれませんか?」

伊崎が言った。

「…えっ?」

ひかるは何を言われたのか、全く理解ができなかった。

「ひかるさんが好きです」

伊崎が言った。

「――そ、そんな突然に言われても困ります…。

伊崎さん、ジョーダンにしては質が悪過ぎますよ…」

呟くように言い返したひかるに、
「ジョーダンではありません」

伊崎はそう言ってひかるを見つめた。

奥二重の切れ長の目に見つめられ、ひかるはどうすればいいのかわからなかった。

「私、伊崎さんのことを何も知りませんし…」

そこから逃れるように、ひかるは目をそらした。
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