肌
５・ひどいのはどっち？
昼下がりの工房で、ひかるは預金通帳と家計簿を見比べながら頭を抱えていた。

「豪くんの話によると、借金は５００万だから…」

何とか切りつめるだけ切りつめて考えるものの、どうすることもできなかった。

「思いきって、私もどこかへ働きに出た方がいいのかな…？」

でも店のこともあるので、パートもしくはバイトとしてどこかで働き始めた方がいいのかも知れない。

しかし、自分は２７歳である。

後少しで３０歳になる自分を雇ってくれるところはあるだろうか？

そう思っていたら、チーンと店の方のベルが鳴った音がした。

誰かきたみたいだ。

「はーい、今行きますねー」

ひかるは工房を後にすると、店に顔を出した。

「あっ…」

そこにいたのは、
「どうも、こんにちは」

伊崎だった。
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