伊崎と会ったのは、1週間ぶりである。

「お久しぶりです…」

呟くようにあいさつをしたひかるに、
「お久しぶりです、ひかるさん」

伊崎はあいさつを返した。

動物園で振ってしまったと言うこともあるので、気まずくて仕方がなかった。

「い、伊崎さん、先日は…」

もう1度謝るために話を切り出したひかるに、
「素敵なオブジェですね」

伊崎はさえぎるように言った。

彼が視線を向けているオブジェは、ガラスでできた王冠のオブジェだった。

半年と時間を要して作りあげたそれを気づいてくれたことに、ひかるは嬉しくなった。

「ありがとうございます。

でも、それは飾っているだけで売り物ではないんです」

そう言ったひかるに、
「それは残念だな」

伊崎は息を吐いた。
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