「売り物にはしないんですか?」

そう聞いてきた伊崎に、
「趣味で作ったようなものなので」

ひかるは答えた。

「あの…」

ふと、それが頭の中に浮かんだ。

「もしですけれども…王冠を売るってなった時、伊崎さんはそれにいくらお金を出しますか?」

そう聞いたひかるに、
「えっ?」

伊崎は訳がわからないと言った様子で聞き返した。

「ご、ごめんなさい…。

伊崎さんがあまりにもそれを気に入っているみたいなので、つい…」

ひかるはアハハと笑いながらごまかすように言った。

今、自分は伊崎にひどいことをしようとした。

伊崎に王冠を売りつけて、それを買わせようと思っていた。

そうすれば、豪の借金を返すことができるんじゃないかと考えていた。
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