肌
勤めている職場を後にすると、豪はコンビニに立ち寄った。

そこで今日の夕飯として食べる牛カルビ弁当とみそ汁、明日の朝食として食べるコロッケパンと牛乳を購入すると築３０年のアパートに帰った。

伊崎と言う男が借金を返済してくれたおかげで、豪は借金取りに追われることはなくなった。

「――いただきます…」

４畳半の小さな部屋に聞こえた声は、小さかった。

豪は温めてもらった牛カルビ弁当と先ほどお湯を入れたばかりのみそ汁を食べ始めた。

牛カルビ弁当を口に入れると、豪は何とも言えない寂しさに襲われた。

「――ひかるちゃんの作ったご飯が食べたい…」

彼女が作るご飯は美味しくて、そして温かかった。

ニコニコと笑っているひかるを前にして食べる食事は、どんな高級料理にもかなわないと思った。
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