ひかるの作るオブジェに、ひかるの人柄に、ひかるそのものに、伊崎はひかれて行った。

新作のオブジェに気づいて褒めるたびに、ひかるは嬉しそうにお礼を言ってくれた。

だけども、彼女が自分を見ていないことは何となくだけど理解していた。

何度目かに店を訪ねた時に自分が『伊崎インテリア』で副社長をしていることを言っても、ひかるは特に気にしていないと言った様子だった。

ひかるが自分を思っていないことや見ていないことは、察していた。

もうひかるの顔を見ることは無理だと、伊崎は思った。

何としてでもいいから、ひかるが自分の方を向いて欲しいと思った。

「――僕と結婚を前提におつきあいをしてくれませんか?」

自分がそう言ったとたん、ひかるは理解ができないと言う顔をした。
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