再見

　福元は恐ろしく知識と話題に溢れた人物だった。
朝食を除いて全ての食事を、彼は敢えて祥子達と共にした。
　　
　知識を語るというのは、不思議な行為だと祥子は思う。
相手を癒すなどという押し付けがましさは微塵もなく、
それでいて福元の話はどれも
祥子達の心にするすると音をたてて染み渡った。
とても物を口にすることなどできそうにない、
そんな状態で迎える食事の時間の度に、
祥子は福元の言葉の世界に引き込まれ、
気がつくと目の前の食べ物に身体を温められていた。