だから、笑って。


図書整理を終え、保健室に向かうと先生はいなかった。


「ま、いいだろ。えっと、湿布は確かー」


私はキョロキョロと迷った末、ソファに座った。



「あったあった。どこだっけ?見せてみ」


「自分でできるよ」



「いいから。見せて」

私は渋々と足を差し出した。



「うわ、腫れ上がってんな。ちょっと冷たいけど我慢しろよ」

そう言ってそっと私の足に湿布を貼ってくれた。


凜くんが貼ってくれた湿布は冷たかったけれど、あっという間に治るような気がした。


「珍しいね、いつもはあんな大胆なことしないのに」







それは・・・。




「ねえ、昨日の好きって、どういう意味なの・・?私、昨日からずっと考えててそわそわしちゃって・・・友達って意味で、いいの?」


とうとう、口に出してしまった。


凜くんは目を見開いた。


「・・・そのまんまの意味だよ」


「そのまんまの意味って・・?」


首を傾けると凜くんはため息をこぼしながら屈んだ。



「だから、その、恋愛対象って意味だよ・・。言わせんなよ」

「ご、ごめん!」

みるみる顔が赤くなっていくのがわかる。


そうだったんだ。凜くんも、私のこと・・。





「菜乃花」

凜くんが立ち上がった。


私も立ち上がる。




「俺と付き合って下さい」


こんなに嬉しいことがあるなんて。


私は思わず涙が出てしまった。


「こちらこそっ・・よろしくお願いします」


「・・泣くなって。あんたって泣き始めたらとことん泣き虫なんだな」


凜くん、ひどい。


でも、そんなところも含めて全てが愛おしい。



私は今日、凜くんの彼女になれました。



初恋の人と結ばれることができました。

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