だから、笑って。

次の朝。

季節はもう夏真っ盛り。


こんなに朝早くからもう蝉が鳴いていた。



緑に色づいた木々を見つめていると、いつもの駅から凜くんが乗ってきた。



「はよ」

「おはよう」

凜くんはまだぽけーっとした表情で、とても眠そう・・。


朝が弱いのかな?



「1限目なんだっけ?」


「化学だよ」


「だりー」

なんて他愛もない会話をしているともう駅に着いた。



「一緒に行こ」

そう言って手を差し出してきた。

緊張して思わず手汗がかっと出てくる。

スカートで手を整えたあと、凜くんの手に手を重ねた。


すると凜くんは謎めいた顔をした。



「違う違う、荷物だって。今日辞書2冊入ってて重いだろ?」


あっ・・そういうことか・・。

途端に自分の行動に恥ずかしくなる。


ああ、私ったら・・。慣れてないって思われたかな?


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