だから、笑って。

「菜乃花、もう少しだよ」


凜くんの後をついていく。


ガサッガサッ。


裏山は手入れされていない山だと思っていたけれど、そんなことはなかったみたい。


斜面はきついけど、道はそれなりに作られていた。


「ついたよー」

凜くんの背中が見えなくなったなと思ったら少し下の方に背中が見えた。


段差があるんだ。


そう思って段差に足をかけた途端





何かが上から伸びてきた。



ぷらーん。


何やら白い細い糸。


それにぶら下がっている目の前の物体。



それは私の一番苦手なもの。




「ぎゃああああ!く、くもっ!!!」

思わず足を滑らせてしまった。






「きゃっ!」

ずるずると段差を思い切り滑り落ちてしまった。



「痛・・くない?」


下を見ると、私は凜くんの上に乗っていた。




「わああ!ごめんなさいごめんなさい!」



「いや、いいよ!俺こそハードな道でごめんね」


そう言って凜くんは立ち上がった。


「ん」
無言で手を差し伸ばす凜くん。

私はその手をぎゅっと握った。




「ははっ。俺ら愉快な格好してんな」

凜くんに言われ、ぱっと自分の制服を見る。

制服には緑の葉っぱがたくさん付いていた。


凜くんを見ると、凜くんの制服も葉っぱでたくさんだった。

「ふふっ。本当だ、愉快だね」

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