だから、笑って。
「なあ。」
真ん前から声がした。
私かな?と確認がてらにチラッと前を見てみた。
すると、背の高い男の子がじっとこちらを見ていた。
「あんた、辛くないのか?」
念のため私?という意味を込めて自分を指差すと、彼はこくんと頷いた。
「何が?」
すると、男の子は少し目を泳がせた。
「いや・・・。ずっと思ってたんだけど、お前さ・・。」
そこまで言いかけていたのに、彼は「いや、なんでもない」と誤魔化した。
私は何を言っているんだろう?と疑問符が頭に浮かぶばかりだったが、何も言い返さずにまた桜の木を見た。