だから、笑って。
教室に着き、里沙と適当な席に座る。
委員会までまだ時間が少しあったので私は里沙の席まで椅子だけを移動させた。
「そういえば、菜乃花って今日用事ある?」
「どうしたの?」
「いや、先週駅前にオープンしたカフェに行きたいなって思ってさ!行けそう?」
「ごめん!今日あの日だから・・!」
命日の日は、用事を必ず入れないようにしてるんだ。
1秒でも長くお兄ちゃんのそばにいたいから。
すると里沙は何かを察した顔でいた。
里沙も私もそれぞれの家内事情は全て知っている。
「そういえばそうだったね。・・もう10年が経とうとしてるんだね。」
「うん。」
「ひびきくん、バスケしてたじゃん?私もその頃からバスケしてたから、よく教えてもらってたなぁ。」
里沙は遠くを見つめながら言った。
「近々、また仏壇に手を合わせてやってね。」
「そーする。」
タイミングよく先生が来たので私は自分の席に戻った。