だから、笑って。


すると私は涙が止まり、気がついたらお兄ちゃんと笑っている。




お兄ちゃんはそんな私の手をとって帰り道を歩き出した。










『菜乃花は笑顔が誰よりも似合っているよ。だから、笑って。』


お兄ちゃんのこの言葉は昔から好きだし、いつも励まされてきたんだ。






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「菜乃花、今すぐ桜ヶ丘病院に行くわよ。」

ある日の夕方、青ざめた顔でお父さんとお母さんが言った。


家の中を行ったり来たり、いつもよりも何倍も慌ただしいお父さんとお母さん。



お兄ちゃんに何かがあったんだなって小さい頃の私でも判断できた。



私は小さなカバンにお兄ちゃんが大好きなみぞれ飴とチョコを詰め、お兄ちゃんのお気に入りのバスケットボールを片手に家を出た。










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