だから、笑って。
その話題を最後に、私たちはまた黙々と作業を続けた。
「あっ、」
私は思わず声を上げた。
私が見つけたのは一冊の本。
私が小学生の時に読んで、今までで1番大好きな小説だ。
中学校の図書館には置いていなくて、とても残念だった。
でも、高校で巡り会うことができたなんて。
「好きな本?」
気がついたら間宮くんは近くに来ていた。
「あっ、はい。兄妹の温かい物語なんですけど。とても、素敵な話でお気に入りなんです」
私は久しぶりに見た本の表紙を撫でながら言った。
「そうなんだ。それ、そこに置いといてくれる?なんか興味出てきたかも」
間宮くんは近くの机を指さした。
私はそこに本をそっと置いた。