だから、笑って。



図書室のドアが開く音がしたので我に返った。



読んでいた小説がクライマックスの良い場面に入ったところで水を差すように誰かが入ってきた。





すらりとしたあのスタイルは・・・。


「間宮くん」


「よ。」



間宮くんは図書カウンターの前に来た。




「これ、返却」

そう言って返却ボックスの中に一冊の本を入れた。



「あ、そういえば今日の放課後も図書整理あるらしいから行けたら来いって伝言」



今日もあるのか・・・。



「あー・・。ごめん、菜乃花。今日からは試合に向けて本格的に練習メニューが厳しくなってくるからしばらくは行けそうにないかも・・」

里沙は申し訳なさそうな顔で言った。

里沙は2年生の中で部長候補に入っているからしょうがない。


「大丈夫だよ!部活を優先してあげて」


「ありがとう」






「んじゃ。」

間宮くんはそのまま図書室を出ていった。




< 48 / 132 >

この作品をシェア

pagetop