だから、笑って。
「わかりました・・ありがとうございます」
数分後にお父さんとお母さんはそのお医者さんに深々とお辞儀をしていた。
そして、無言で私の手を取り、部屋の中へ入っていった。
部屋は、薬品の独特な匂いが漂っていた。
そして、大雑把に置かれた機械たちからは等しい機械音がリズムを刻んでいた。
私とお母さんは手を取りながらお父さんの後をついていった。
すると、お父さんは1つのベッドの前で立ち止まった。
お母さんはその瞬間にそのベッドのもとへ駆け寄った。
「ひびき!!!」
お母さんはお兄ちゃんの名前を叫んだ。
私はその瞬間、どっと体が重くなるような感覚がした。
片手で持っていたバスケットボールが落ちそうになったので、両手で抱えて持ち直した。