だから、笑って。


誰もいない廊下。


私たちの内履きの音だけが廊下に響く。


季節はもう夏間近で、外は緑が色づいてきていた。




すると、どこからともなく風が吹いてきて、私たちの髪がなびいた。窓に目をやると、窓が思い切り開いていた。



「うう、梅雨明けだからまだ少し寒いよね・・」


間宮くんに話しかけた。



「ん、そうだね。・・・あ、相川さん」


そう言って間宮くんはぴたりと止まった。


と同時に間宮くんの手が私の頭にそっと触れ、





「葉っぱついてた」

そう言ってにっと笑い、外から舞い込んだであろう新緑の葉を見せてきた。




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