だから、笑って。
ガチャ。
もう図書室の独特な香りもすっかり慣れてしまった。
むしろ、落ち着く香り。
カーテンのそばにある机にもう凛くんはいた。
今日は何を読んでいるのかな・・・?
凜くんの方に向かい、本を覗いた。
「また恋愛系・・・?」
すると凜くんは焦ったような顔をしてその本をぱたんと閉じた。
ブックカバーで表紙は見えなかったけど、小説じゃなかったような・・?
「いや、スポーツ論の本読んでただけ」
凜くんはリュックにその本を突っ込んだ。
代わりに凜くんは一枚の紙を出してきた。
「菜乃花、ここ知ってる?」
凜くんが差し出してきたのは、最近隣町にできた古本屋のチラシ。
私の家にも今朝、このチラシがポストに入っていた。
「海沿いにあるらしいけど、すげぇ気にならない?」
・・確かに、チラシをそこまでよく見てなかったけれどとても外観が素敵な古本屋だった。
「うん、綺麗な古本屋だよね・・!」
「・・・はい、出発」
彼はリュックを背負い、ドアに向かった。
ちょ・・!出発ってまさか・・・その古本屋に行く気なの・・!?