だから、笑って。
古本屋に入ると古書の匂いが漂ってきた。
なんだか、図書館の書庫と同じような香りがする。
こんなたくさんの本の中からお気に入りの本を見つけるなんて、運命の出会いみたいでとても素敵だ・・・!
「凜くーん・・」
古本屋の奥の方に向かうと凜くんはいた。
もうすでに2・3冊の本を手にしているようだった。
凜くんの目は幼い子供のようにキラキラしてて、とても可愛かった。
「菜乃花、ここ本当にすごいよ・・!なんでもある!」
私も凜くんの眺める本棚に目をやった。
すると、一冊の本が目に入った。
背文字には本の題名は書かれてなかった。
けれども、何故かパッと目に飛び込んだ。
「ああ、その本は結構読み甲斐あるよ。見る目あるね、菜乃花」
私は本棚からその本を引っこ抜いた。
「わあ・・・」
あまりに綺麗な表紙に思わず声が出た。
「外国のファンタジーものだよ。児童文学だけど、俺は今でも呼んでるよ」
すごい・・・!
まるで魔法にかかったかのように、その本を手放したくなかった。