だから、笑って。


先にお会計を済ませ、店のおばあちゃんと外で会話していると凜くんが古本屋から出てきた。


凜くんはとても大きな袋を持っていた。



「凜くん、何冊買ったの?」


「んー、10近くはあると思うけど」

たくさん買ったなぁ・・・。



「あ、菜乃花はその本にしたんだ。今度感想聞かせてよ」


すると隣にいたおばあちゃんはえくぼを作って微笑んだ。



「あんたらみたいな若いカップルたちがこの辺に来てくれりゃあ、繁盛するんだがねえ」


確かに・・この辺は若者が少ない気がするな・・・




って、




「カップルじゃないです!!!」


私は思わずそのおばあちゃんにつっこんだ。




「あら?カップルじゃないの?・・・じゃあこのキャンペーンには参加できないわねぇ・・」


おばあちゃんはチラシの裏を見せてきた。



凜くんはそのチラシをまじまじと見る。



「ん、裏にこんなのがあったんですか・・って、ゲーテの詩集!?しかも初版じゃないすか!?」


そこには先着10名様のカップル・夫婦にこの中から好きな本を一冊ずつプレゼント!と書いてあった。



凜くんが釣られそうなネタだな・・。




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