だから、笑って。


「いや、おばあさん。実は俺ら付き合ってます」


「でもその子は付き合ってないって言ってたよ?」


「いや、コイツは極度の人見知りなんで。今日だってほら、こんな風にしてここまで来たんすよ」


そう言って凜くんは私の手をぎゅっと握った。




突拍子もない出来事に思わずかぁっと顔が熱くなるのがわかった。




するとおばちゃんはニコニコした顔で頷いた。


「うん、そうかそうか。いいねぇ、青春だね。お幸せにね。じゃあ、本を選んでもらおうかしら」




凜くんの手がぱっと離れて、私はようやく緊張から解放された。


ぎゅっと自分の手を軽く握る。




びっくりしたよ・・・。



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