涙の行方〜1番大切なもの〜
第1章「学校」
卒業式と書かれた学校の体育館。
まわりには涙をハンカチで拭いてる女子もいる。いつもはやんちゃな男子生徒も緊張気味に後ろの保護者席をチラチラとみている。
「−伊藤 咲−」
「はいっ!」
予行練習でやったとおりの道を一歩一歩歩いていく。卒業証書をもらうと礼をし生徒達の方に振り返る。
前にいる女子が笑いかけた。咲は先生達にばれないようにニコッと笑うと紙花で囲まれた階段をくだっていった。
「いよいよ卒業だねー…4月からはもうここじゃなくて高校にいくんだよ」
咲は数人の女子と喋っていた。
傍では人気のあった男子が学ランのボタンを0にして歩いている。
「咲はどこの学校だっけ?確かこっからわりと近かったよね?」
「うん、成城高校だよ!推薦入試で楽にはいれたけどね」
咲は自慢げに長い髪を耳にかけた。
田中 香織
大谷 美佳
伊藤 咲といえば学校でもいつも同じの
3人だ。トイレも職員室もいつも一緒だった。
だけど新学期はもうない。
4月からは3人とも別の学校だ。咲は同じ学校に行きたかったが咲の成績では他の二人と同じ学校には行けず自分のレベルにあった学校にした。
この中学から成城高校に通うのは都立落ちした園田佑美しかいない。
だが園田と咲は一回も同じクラスになったことはない。会話も体育の時に転がったボールをとってもらった時だけだ。
(…とりあえず挨拶しよ!)
咲は一人園田の所に行くとスマイルいっぱいの顔で肩を軽くつついた。
「園田さん!高校にはいったらよろしくね!!一緒に学校とか言ってくれる?!」
「いいよ」
緊張したわりに即答だったので詳しい事はメールすると言いアドレスを交換した。
その日から何通かメールをし
今まで知らなかった園田さんが大分わかってきた。結構マイペースなところ、自分の好きなものの前ではかなりテンションが上がること…
春休みが終わりに近付く頃にはかなり話が合う仲になっていたし一緒に遊ぶようになっていた。
[明日何時にしよっかo(^-^)入学式から遅刻はできないよ(笑)はやめにしよーっ!]とメールをすると時間の書いた返事がすぐにきた。
新しい制服をみて眠りにつく…