涙の行方〜1番大切なもの〜
行為が終わる頃には外は明るくなってきていて、新聞配達のバイク音が聞こえる。

健太は私に腕枕をしたまま眠っていた。
帰りは健太が無免許ながら車を運転して家まで送ってくれた。

「また行っていい?…ってかこのまま会えなくなるなんて事ないよね?」

本音だった。好きになったのかはわからない。まだ私は健太をよく知らないし、ただ彼氏になってほしかった。

「当たり前だろ!」

その言葉に安心した私は家に帰った。
帰ってすぐにメールをしたが返事は帰ってこない。

学校でも何通もメールをする だけど返事は1つも返ってこない。
私は自分の中に浮かんでくる極めて確信に近い予想を必死に抑える。

(私…やり逃げされたの…?)

3日程たってメールがきた。送主の名前をみて忙しかったんだなと納得しメールを開く、

[ごめん。実は俺彼女できたから…もうメールできない]

頭の中が真っ暗になる。
でも返事がきたことに期待をし、何とか繋ぎとめようと慌ててメールをした。

[そう…でも私、健太のこと好きだから離れたくないよ。もしその彼女と別れたりしたら待ってるからメールちょうだい?]

「本当ごめん。でも俺今の彼女と結婚しようと思ってるから…今日挨拶いくし もう二度と連絡できない。それと彼女に誤解されたくないから、もうメール送んないで」

返信する気にはなれなかった。
でも佑美にそれはいえなかった。恋愛をしない佑美にはそれが困らせる結果にしかならないとわかっていたからだ。
私は同じクラスの友達に抱きつき思いきり泣いた。
それでも出会い系で知り合ったということは言えなかった。


悔しかったのはやり逃げされたことじゃない。
こんな嘘くさい台詞を理由にされたことだ。


こんな事があったのに私は出会い系をやめられなかった。

その後何人かの男と会いセフレのような関係をもったが、期待しなくなったぶん楽だった…。

クラスメイトの深雪には中学の友達だといいはり、佑美には友達の友達といいごまかした。


出会い系をやっていたこと…
私は未だにそれを秘密にしている
< 7 / 8 >

この作品をシェア

pagetop