愛を知らない一輪の花

あれから程なくして、百合は辞表を出した。
アルバイトも1人辞めた状態で人手不足な事もあり、保留という形で透は預かった。



一方連は自問自答を繰り返す。本当にこれで良かったのか、百合を諦められるのか。そんな悶々とした日々を過ごした。
そんなある日、社長室に内線がなった。


「はい、前垣だ。」

「社長、すみません。本店に山本様がいらっしゃってまして、社長を呼んでほしいとの事です。」

「わかった。すぐに行く。」



内線をきり、急いで本社の一階にある本店へとエレベーターで降りる。



山本和樹。40代と若くして都議会議員に選出された、今最も勢いのある人間だ。そしてうちのお得意様でもある。
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