愛を知らない一輪の花

「、、、左様でございましたか。そんな素敵な出来事に携えることができ嬉しく思います。こちらこそありがとうございます。」

そんな山本の話に嬉しく思い、同時に誇らしく思った。




「どうしても彼女に直接御礼を言いたくて、そのあと何度か駅前支店を訪ねたが、会えなくてね。聞いた話によると、その子はたまたま店番をしていたらしく、普段は裏の作業場にいるとね。」

その話を聞いて、どくんと心臓か脈打つ。



「今時なかなかいない。客の1人1人に寄り添ってくれる子なんてね。、、、確かに、ここの子達も花のセンスもいい。選び抜かれた精鋭だと思う。だが、彼女には他の子に無いものを持っている。」


「駅前支店の斎藤百合さん。彼女は支店の、まして裏方業務などにくすぶっている様な人間じゃない。ここ、本店に立つべき人間だ。」
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