愛を知らない一輪の花
「これは、第三者である。お客様のご意見でもあるんだ。君のように、お客様一人一人に寄り添える人間が本店に欲しい。少し強引に決めてしまって申し訳ないが、、、俺に着いてきてくれないか?」
透の方を向いていた百合の手を取り、ギュと強く握る。逃げられないと悟った百合は少し泣きそうな顔をした。
「、、、はい。わかりました。本店に参ります。支店長、皆さん。今まで大変お世話になりました。」
蓮の手を一旦離し、深々と頭を下げる。
「本当にありがとうございました。」
頭を下げたままで少し震える百合に、透が優しく背中を押す。
「辛くなったらいつでも帰ってこい。ここは猫の手だって借りたいくらいに忙しいんだ。お前も知ってるだろう?」
「行ってこい。斎藤。」