愛を知らない一輪の花
その顔はあの時の怒りのようものは一切無く、切なそうに瞳が揺れている。
「、、、はい。社長のような雲の上のようなお方に一瞬でも求めて頂き、光栄です。あの日のことは誰にも公言しておりませんし、これからもそのつもりです。ですから、心配されないで下さい。」
「そんな心配はしていない!!」
眉を下げ、優しく微笑む百合に声を荒げた。
ビクッと肩を揺らした姿を見てハッと我に変える。車を停めて百合の手の上にそっと自分の手を重ねる。
「すまない。怖がらせるつもりはなかったんだ。ただ、そんな心配はしてなくて。あんな事をしておいて信じて貰えないと思うが、君の事を大切に想っている。、、、好きだ。」
真剣な蓮の姿に動揺する。どう答えたらいいのか分からず、困ったような顔をする百合の頭を優しく撫でる。