愛を知らない一輪の花
「お疲れ様。みんな集まってもらっていいかな?」
「社長!お疲れ様ですっ!」
作業をしていた本店スタッフは、蓮の顔を見るなりキラキラと眼を輝かせて駆け寄った。
「この前の会議で決まった通り、今日から此処で頑張ってもらう、斎藤百合さん。皆んな知っていると思うけど、彼女は11年、駅前支店で膨大な仕事量をこなしてきた。こっちと向こうは勝手が違うと思うから色々教えてあげて?宜しく頼むよ。」
「斎藤百合です。至らないことばかりで、ご迷惑をお掛けしてしまうと思いますが、どうぞ宜しくお願いいたします。」
微笑んだ蓮の隣で深々と頭を下げた。
しんと静まり返る本店。その空気に歓迎されてないことがひしひしと伝わってきた。