愛を知らない一輪の花
「斎藤さん。分からないことは蓑田さんに聞いて?ここの店長だから。、、、蓑田さん。俺は戻るから後は宜しく。」
「、、、わかりました。」
ため息をついて蓮が社長室に戻るのを見送る。
蓑田優香、30歳。中途採用ながら、大手花屋での経験と知識。そしてセンスは蓮や透と張るほどの実力派。落ち着いた雰囲気にぷっくりな唇は色気が漂う。知性も女の魅力も兼ね備えた美人だ。有名人や著名人のお客も多いこの本店で1番の人気でファンも居るほどだ。
少しピリついた雰囲気の中、優香が冷たい表情で百合を見る。
「貴方、可愛い顔してなかなかやるわね?あの愛妻家の山本先生を落とすなんてね。しかも社長まで味方につけて、いい御身分ね?」
クスクスと笑う声が周りからも聞こえる。そんな声に百合は凍りつく。