愛を知らない一輪の花
時刻は午前2時20分。
ようやく作業を終え、荷物を手に取り作業場を後にした。本店のドアに手をかけようとしたその時、ドアに蓮がもたれ掛かっていたのに気づき、驚く。
心配そうに眉を潜める。
「、、遅くまでお疲れ様。送っていくよ。ついてきて?」
百合は突然の事で慌てふためく。
「お、お疲れ様ですっ!社長に送って頂くなんてとんでもないです!!!電車はないですが、近くのホテルに泊まりますからご心配には及びません。私の業務が遅いせいで、社長に気を遣わせてしまって、申し訳ありません。では、お疲れ様でしたっ。」
足早にその場を去ろうとする百合の手を掴む。
「お願いだから、、、送らせてくれないか?」
切なそうな表情に胸を締め付けられた。